HOME>本づくり>hon_simen
本文紙面の設計

本の大きさの決定

 最初に本の大きさを決めなければなりません。
 紙をむだなく使うにはJIS規格にすることです。洋紙はJIS規格に合うようにカットして販売されています。四六判,B本判,A本判,菊判,クラフト判が代表的です。新聞紙はカットする前の紙を使い,そのまま折りたたむのでJIS規格とは違っています。
主な本の大きさ
判型寸法(mm)使用例
B4判257×364グラフ誌,画集
A4判210×297楽譜,写真集
AB判210×257女性週刊誌
B5判182×257週刊誌,雑誌,教科書
A5判148×210文芸雑誌,単行本
四六判127×188単行本
B6判128×182単行本
新書判103×182新書
A6判105×148文庫本
B7判91×128手帳
A7判74×105ポケット辞書
 右の表のように,単行本はB6判かA6判が一般的です。B6判は行が長くならず読みやすいのです。図版が多いものは一回り大きいA6判が向いています。文庫本や新書を除くと出版物のほとんどがこの大きさです。本棚もこれに合わせてできています。
 最近はA4判の本も報告書などで増えてきましたが,通常の本棚では納まりません。面積が広いので紙面構成にも工夫が必要です。


版面の決定

 本文紙面は本文内容を記載する版面はんづらと天地左右の余白からなります。天地左右の余白にはノンブルや柱が(時には脚注も)配置されます。
 余白をいくらにとるかで紙面の表情がほぼ決まります。
 結局は感性で決めるしかないのですが,指標があります。次の表は藤野薫氏の説によるものです。 版面と余白
版面比率と判面の形状特性
版面比率の範囲版面の形状特性
8分表現%表現名称辺比
3/8〜5/837.5〜62.5黄金長方形1:1.6
5/8〜6/862.5〜75.02:3長方形1:1.5
6/8〜7/875.0〜88.0√2長方形1:1.4
版面比率とは版面の面積対本の面積のことです。版面の縦横比率では上記では形状特性と称しています。

 版面が小さいつまり余白が多いものは文芸などの単行本,版面が大きく余白が少ないのは雑誌,新聞に適用します。
 余白が多いときは版面を縦長に,余白が少ないときは版面を判型の比率に近くするとバランスがいいとしています。
例)B6で版面比率を5/8にしたときの余白を計算してみます。
版面の面積はB6の面積の5/8ですから

128mm×182mm×5/8=14560

上の表から版面の辺比は1.6です。短辺の長さは

14560÷1.6≒95.4mm

長辺の長さは

95.4×1.6≒152.6mm

左右余白は均等にとると(128-95.4)÷2=16.3mm
天地余白も均等にとると(182-152.6)÷2=14.7mm
となります。
 尚,頁(ノンブル)や柱(ランニングタイトル)は左右または天地の余白に配置します。

文字の大きさと行間の決定

 文字の大きさは近頃はやや大ぶりになっているようです。一般的には10ポイントから10.5ポイント(13級から15級,5号活字くらい)が多用されます。研究論文では9ポイント(12級)が多用されます。
 文字の大きさが決まると1行あたりの文字数が決まります。1行あたりの文字数が決まると一色文臣氏の式により行間が決まります。 一式文臣氏によると
   適正行間値=文字サイズ×字詰数×0.03
   端数は四捨五入。文字の大きさを最大値とする。12ポイント以上は2割減ずる。
 厳密に倣う必要はないと思いますが,基本として押さえておくと便利です。特に段組みやカラム組のときに適正行間を簡単に計算できます。
上記の例では14級縦組みのとき
14級は3.5mmになります。
152.6÷3.5≒44字
行間14級×44字×0.03=18.48
14級より大きいので行間は14級とする。
行間と文字を合わせて28級,7mmなので
行数は(95.4mm-3.5mm)÷7mm+1行=14行
版面は縦が14級×44字×0.25=154mm,
横が(14行×文字14級+(14行-1)×行間14級=196+182)×0.25mm=94.5mm
となります。上下余白は合わせて28mm,左右余白は合わせて33.5ミリメートルとなります。
 柱やノンブルを配置する余白をやや多くとるといいでしょう。左右余白は版面率が大きいときは小口を広めにします。
 以上の計算はベタ組み(文字間がゼロ,文字送りが文字の大きさ)と同じという前提です。現代では字間を開けないベタ組みが主流となっています。何かの都合で字間を開けるときは行間がわかるように設定してください。字間を開けて行間を詰めると横組みなのか縦組みなのかよくわからなくなります。


ノンブルとランニングタイトル

ノンブルとランニングタイトル  ノンブルとランニングタイトル(柱)は中央か右端か左端,天か地の余白にまたは小口の余白に入れます。
 ノンブルは頁順を示す数字で,数字の大きさは本文と同等以上にします。
 ランニングタイトルは本をパラパラとめくって内容を大づかみするように章のタイトルなどを本文と同じかそれより小さい文字で記載します。
 ノンブルもランニングタイトルも本文の行間以上空けて配置します。




参考引用文献
印刷組版総合的機械処理への序説(藤野薫・神能弘忠)大阪府軽印刷業協同組合 S61.6.20
筆者は一色算式に補正を加えている。


このページはメイリオをインストールしたパソコンではメイリオで表示します。私にはとても見やすい書体です。ただし,字体はVISTAと同じくJIS2004です。「飴」が旧字体になって苦そう!