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ジャンプ率

 見出しと本文の文字の大きさをジャンプ率といい,紙面の品位,訴求効果を表すバロメータになる。通常文芸誌は2倍以内,グラフ誌は6倍から10倍,スポーツ新聞でも20倍くらいだから,この携帯の広告は実に大きなジャンプ率で,訴求効果どころか偽装効果だと公正取引委員会は判断したのだろう。
 ジャンプ率は紙面を組み立てるのによい指針となる。本文が9ポイントなら文芸誌の一番大きな見出しは18ポイント,中見出しは12ポイントという風に選べる。これを24ポイントもの見出しで小説のタイトルを組んだりすると,週刊誌じゃないよと怒られる。
低ジャンプ率の例 高ジャンプ率の例
低ジャンプ率の例
本文12Q見出し20Q
高ジャンプ率の例
本文12Q見出し112Q
活版写植ポイント
初号62Q42p
1号38Q26p
2号32Q22p
3号24Q16p
4号20Q14p
5号15Q10.5p
 14Q10p
 13Q9p
 12Q8p
6号11Q7.5p
7号8Q5.5p
活版活字の代用する大きさ。
5号から6号までの間は
ポイント活字で補っていた。
 写植は,固定された拡大率のレンズを交換して文字の大きさを変えていたので,半端な大きさは使えなかった。それより前の活版時代は母型に鉛を溶かして作っていたので母型にある大きさしか使えなかった。号数活字は初号と1号を基準に初,2,5,7または1,4,3,6,8,と1/2の等比数列状に大きさが定められています。変な文字の大きさは使わず,これらの大きさを見出しに使うと品のいいバランスのとれたページができる。
 こんなことを考えながらDTPに取り組んでみよう。ジャンプ率を中庸にとるとバランスのとれた紙面になる。品格を上げるにはジャンプ率を低めにし,活発な紙面を作ろうとしたら思い切ってジャンプ率を大きくとる。活字の大きさの選び方でも紙面の顔色が変わっていく。
 活版の頃は活字そのものよりかなり文字が小さかったので,本文に5号をよく使った。振り仮名は本文5号の1/2の活字を使うので7号(5.5p)を使い,この活字の大きさを別名ルビと呼んだ。振り仮名をルビと呼ぶのはこの名残だ。
 活版活字はインキを逃がすための傾斜が必要だったため実際の文字(ボディ)が小さかったのではないかと思う。今はかなりボディが大振りにできている。そのせいか本文は9ポイントを使うことが多くなった。また,老齢化の影響か10ポイントの本文が見やすいと好まれてもいる。尚,今でもボディは呼称より少し小さい。そうでなくては隣の文字とくっついてしまう。

 ついでに言えば,字間は0に取るのが基本だ。これをベタ組みと呼ぶ。見づらいからと字間を開けるのは読みづらくなる。横組みの時かななどの間が空いて見えることがある。これを詰めて組むのを詰め組という。大きな見出しは必ず詰めで調整する。本文はGと付いた書体を使うとかなが詰められる。かなが大きくなっているので,私は必要ないと思うし,読みづらいと思うが,この頃のデザイナーは詰めが当然だと主張する。

このページはメイリオをインストールしたパソコンではメイリオで表示します。私にはとても見やすい書体です。ただし,字体はVISTAと同じくJIS2004です。「飴」が旧字体になって苦そう!