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パソコンで原稿を作る(文章編)

 家庭や事務所で使っているパソコンを利用して,印刷用の原稿を作る方法について簡単に 説明します。
入稿データの知的所有権は第一に著者にありますが,印刷のために調整されたデータは調整した者にも知的所有権が発生します。印刷物をそのまま複写したり,印刷するのは同様に著者や版下作成者の知的所有権に留意する必要があります。インターネットで配布されているイラストやフォントも商用では許可が必要としている場合がありますので,留意してください。役所だから学校だから無料配布だからと言って勝手に使っていいというわけではありません。

ダイレクト印刷は手直しができません――最低コスト

 ダイレクト印刷というのは従来,フィルム製版をしないオフセット印刷のことでした。版下を直接刷版に写真処理する方法です。今ではパソコンプリントや手書き版下をスキャナで撮ってから刷版を作る方法を含めてダイレクト印刷と呼んでいます。
 ダイレクトの場合は手直しができません。手直しの可能性があるときは「リプリント」を指定してください。リプリントは組み直しをせず,最大限入稿データを生かし,かつ手直しできる方法で印刷の準備をします。ダイレクト製版は,データを保存していない場合,品質は二の次でコストを掛けられない場合にご用命ください。
 ダイレクト印刷の代表は選挙公報です。選挙事務所が作った手書きや活字の版下をそのまま印刷します。筆でしたためる候補者もあれば,活字で公約をびっしりと並べる候補者もあり,容貌やイメージを中心に掲載する候補者もあり,それをそのまま印刷します。そこに他人の手が入るのを極力避けるためと思います。
 ただ,写真や墨絵のような濃淡のあるイラスト,網ふせした表などはダイレクト印刷ではきれいに印刷できません。コピーをとったように濃淡が極端になり,ムラになります。必要に応じて,プリントをスキャナーで撮り直すのですが,原版から撮ったようにはなりません。
参照 WORDを使いやすく

リプリントは手直しができます――低コスト高品質

 なんとかデータを活用すべく考えたのが,著者と同じソフトウェアで印刷所でプリントし直してから,印刷することです。あいわプリントではこれを「リプリント」と呼んでいます。初めはレーザープリンタで600dpiのプリントアウトを作ってからダイレクト印刷にかけると,著者の24ドットプリンターよりずっときれいに印刷できることからはじめました。今ではCTPによって中間プロセスを介さずに3000dpiで出力します。著者の見逃したミスを直したり,著者の持っていないフォントを使ったり,多数の著者の細かな違いを統一整理したりすることがもできるようになりました。
 実際にはプリンターのちがい,フォントのちがいなどから思いがけない手直しを要することもありますが,リプリントの需要は多くなっています。写真や網掛けなどが入っている時は,ダイレクトは不可能なので,リプリントするか,印刷会社のDTPで組版し直しするしかありません。
 入稿したファイルは同じソフトで開いて,著者のプリントを見ながら
  ・フォントの確認,置換え
  ・文字ずれの確認,調整
  ・写真は一旦取り出して写真修整ソフトで調整
  ・ノンブル(ページ番号の数字のことをさす。ドイツ語読み。英語ではページナンバー)を振る
  ・カラーの場合はCMYK変換をする
などの作業を行います。
 元のデータを手直しして再入稿すると,一から調整し直しになり,経費が発生します。これ以降はお任せください。
参照 WORDで発注

版下制作も委託するのがベスト――高コスト最高品質

 印刷会社のパソコンは見た目はメーカーも家庭のものと変わりません。ひょっとしたら家庭の方がが高価かもしれません。テレビも見れません。しかし,印刷に必要な優秀なソフトとそれを動かすのに必要な機能を持っています。
 折角自分のパソコンで打った原稿は文字を活用できます。その分コストも安くなります。是非同時に入稿してください。とんでもない誤植はまぬがれます。が,校正はしっかりとお願いします。他人の手が入っていますし,自分の間違いも見つけられるかもしれません。


パソコンで原稿を作る(写真・イラスト編)

 写真をスキャナで撮るときは,仕上がりの大きさに350dpiでスキャンしてください。後から拡大縮小するのは10%くらいにとどめてください。保存は「tiff」か「jpeg最高品質」にしてください。
 デジカメで撮った写真は写真用のソフトでトリミングや縮小拡大をしたあと,350dpiでtiffかjpegの最高品質で別名で保存してください。元の画像はそのまま保存しておいてください。
 問題はその写真が拡大のときにきれいに補正されているか,劣化せずに保存されているかなんですが,実は出来上がったデータでは調べることはできません。解像度が350dpiになっていても,加工や保存の過程で何らかのミスがあれば画像が大きく劣化しているすることがあります。元の画像は必ず別に保存しておいてください。デジカメの画像は常に同じフォルダーに転送し,必要なデータを新しいフォルダーにコピーしてから処理するよう習慣づけておくといいかもしれません。
 イラストのうち,写真と同じデータ形式になっているとき(拡張子がtif,jpg)は,拡大に注意してください。ほとんどのイラストは拡大すると画像が荒れてしまいます。
 ベクトル形式(拡張子がwmf,eps)のイラストは拡大しても問題ありません。(epsは内容によっては拡大できないものもある)  gifはインターネットでよく使われますが,印刷ではトラブルの原因になりますの使わないでください。


パソコンで原稿を作る(表計算編)

文字が尻切れになる 表計算ソフト(Excelなど)は数値計算のためのソフトですから,DTPにはもともと向いていません。表示に機能を加えて印刷できるようになっているだけです。通常画面と印刷は表示が違っています。枠からはみだして文字が切れていたりなくなっていたり。印刷用の表示が別コマンドで容易されています。プリンターを同じものに見せかけないと結果が違うことになります。
線が切れ切れになる プリンターを変えると線の太さも変わります。印刷会社のセッターで出すと一番細い線が髪の毛より細くなったり,紙が上質や再生紙では細線が途切れ途切れになってしまいます。600dpiのプリンターで3dotの線は0.13mmですが,セッターでは0.025mmになってしまいます。ワープロやDTPソフトは線の発生の仕方が違うようです。0.1mmの線を指定すると600dpiのプリンターには3dot幅でと指示し,セッターには12dotの幅でお願いと指示するようです。
グラフが真っ黒になる 基本的にグラフはカラーで出来てしまいます。これを白黒で印刷すると赤が真っ黒になります。カラーの設定をモノクロに変えて,さらにおかしいところは調整してください。
リンクはできるだけしない ExcelデータをWORDに読み込む時,リンクをはずしてください。リンクしていると元の数値が変わるとこちらも変わり,著者は樂なんですが,DTP出力には負担がかかります。また,数式が入っていると予期しないトラブルが発生しています。数字だけを貼り付けしたセルをWORDに貼り付けてあるのがいいのですが,だんだん,何のためにやっているのかわからくなります。著者は著者の本来業務に専念してあとは印刷所におまかせください。


パソコンで原稿を作る(イラスト・図形編)

 イラストを自分で書くときはビットマップかベクトルか選んでいるとおもいます。ベクトルならあとでも拡大できますが,ビットマップは拡大縮小により画像が劣化しますので,留意してください。ビットマップのときは入稿データとしてjpeg, tiff, bmp, epsで保存してください。レイヤーははずしてください。ベクトルのときは入稿データをビットマップにするかeps, wmfなどで保存してください。gifは使わないでください。
 細かい線を多く使う図形はビットマップに変換しないで,epsなどベクトルデータで保存してください。
クリップアート集のデータを使うときも,同様にしてください。ビットマップデータはトラブルが少ないのですが,細い線と拡大に弱いので,ベクトルデータの方がいい場合があります。


パソコンで原稿を作る(PDF編)

 共通形式で無料リーダーが配布されているので重宝しているPDFですが,作成方法に様々な方法,様々なソフトがあり,印刷用のセッターに出力できないものがあります。出力できるかどうかはAdobe Readerではわかりません。おまけに印刷会社のセッターによっても違いがあります。あらかじめ,テストをしておく必要があります。
 またPDFに訂正を加えることは危険です。不要な線1本を削除したら他のところも削除されたり,体裁がくずれたりすることがあります。また,元のWORDなどのデータが直っていないと次回に訂正するときにPDFで直した箇所を捜さなくてはなりません。元のデータに戻って訂正することをお勧めします。
 MS OfficeからAcrobat PDFを使って印刷するときにHigh Qualityを使ってみてください。ただ,印刷会社にあらかじめテストPDFを送って試した方がいいと思います。
 Open Officeは無料で使えるオフィスソフトです。あいわプリントの営業や業務上の書類はこのソフトで作るようにしています。WORDやEXCEL,PowerPointなどとそっくりなソフトで互換性もあります。このソフトにはPDF作成機能が付いています。Actobatを使わなくてもPDFに簡単になります。あいわプリントのセッターでも出力できましたので,完全版下データとして使えそうです。全くトラブルがないのかは言い切れませんが,第一関門のフォント埋め込みは大丈夫でした。
 フリーのPDF作成ソフトも多数ありますが,殆どはセッターに出力できないと考えたほうがいいと思います。PDFは仕様を公開しているせいか見た目は同じでも様々な仕様があり,セッターはこれをエラーとしてしまうことが多いようです。


パ ソコンで原稿を作る(メディア編)

 データはフロッピィ,MO,CD-R,フラッシュメモリーなどにコピーして入稿してください。元のファイルは消さないで置いておいてください。メディアは印刷終了後お返しします。
 フロッピィは熱と水,埃に弱いので注意。夏季の車内は要注意。
 CD-Rはレーベルへのシールは禁止,書き込みも油性ペンは避けてください。表裏ともに傷がつかないように注意してください。これも夏季の車内放置禁止。CD-Rは粗悪品でなくてもCDドライブとの相性が合わないものもあります。また,書き込み時には必ずコンペアチェックしてください。パケットライトソフトでのCD-Rは専用リーダーソフトを必要としますので,避けてください。
 ZIP,PD,SDカードなど各種のメディアに対応します。
 MACをお使いの方はFD,MOはWindowsフォーマットにするとWindowsとデータのやりとりがスムーズになります。CDはISO標準フォーマットを使います。
 ファイルはメールでも受け付けます。担当者宛お送りください。ファイルは小さくともできるだけLZHかZIPで圧縮してください。大きなファイルは
宅ファイル便 データ便 おくりん坊 などで送れます。


このページはメイリオをインストールしたパソコンではメイリオで表示します。私にはとても見やすい書体です。ただし,字体はVISTAと同じくJIS2004です。「飴」が旧字体になって苦そう!